医療法人の相続 / 相続に強い税理士のブログ

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こんにちは、東京都文京区本郷三丁目の税理士・谷澤です。

平成26年度税制改正大綱を一通り読みました。

相続税関係で大きなものは、医療法人の出資を相続した場合の納税猶予です。

医療法人の約86%(平成25年3月厚生労働省資料)は、社団で出資持ち分があります。
医療法人の出資は、未上場株式とほぼ同様の評価です。
利益が出ていたり、含み益が多いと、出資の評価額は高くなります。
相続税納付が厳しいことも起こっています。

医療法上、この出資持ち分有はあくまでも例外的存在です。
原則は出資持ち分無、出資持ち分有の法人は「当面の間」存続させるということです。
もっとも、「当面の間」の期間は相当長いと思われます。

さて、相続税法の改正では、出資持ち分有の法人の出資相続について、納税猶予を認めるものです。
ただし、出資持ち分無の法人への移行期間内に相続が発生した場合に限ります。
出資持ち分有の全てが納税猶予対象となるのではありません。

出資持ち分無の医療法人への移行ですが、
・社会医療法人
・特定医療法人
に移行するなら、出資に関して税務上の問題は生じません。
一方、税務上の問題が生じないだけであって、移行には相当厳しい条件をクリアしなければなりません。

それ以外の出資持ち分無は
・基金制度(要するに劣後債務)
・単に出資無
の法人に移行することになります。
これらへの移行は制度上、容易です。
ただ、その一方、税務では相当注意しなければなりません。
一定の要件を満たさない場合、出資者の出資持ち分放棄に伴う利益が医療法人に移転し、医療法人が贈与税を課されることもあります。

結局、出資持ち分有の法人が、出資持ち分無の法人への移行は現実的に相当厳しいので、当面は移行する法人は少数ではないでしょうか?
そうすると、この納税猶予制度も適用する人が少ないのではないでしょうか?

さて、今後、出資持ち分無の法人への移行の税務はどうなるのでしょうか?
動きがあれば報告いたします。

※個人の相続対策及び遺産整理について、東京都文京区本郷の谷澤税理士事務所では積極的に対応しております。
少額の案件も対応いたします。初回相談無料、平日夜間、土日も対応いたします。お気軽にご連絡下さい。

2014年1月7日