ココイチ税務事件解説

ココイチ税務事件解説

こんにちは、東京都文京区本郷三丁目駅徒歩4分の谷澤佳彦税理士事務所です。

今朝のネットニュース、本日の新聞夕刊でココイチ創業者の資産管理会社の追徴課税について記事が掲載されています。

主な追徴課税原因は次の2点です。
・芸術品として価値のある楽器に対し、減価償却費を計上し、法人で追徴課税
・創業者が会社に対して債権10億円を放棄、他の株主で追徴課税

後者に対して解説します。

相続税法基本通達9-2に記載があります。
(抜粋要約)
同族会社において、同族関係者が財産を無償提供することにより、他の同族株主の株価がアップした
場合、財産を提供した者から株主に対して利益移転があったとみなし、贈与税を課する
(同族会社の定義は省略します)

今回は楽器の購入資金10億円を創業者が会社に貸付けました。
そして後ほど、債権放棄を行ったとのことです。
会社が大幅な債務超過であり、債権放棄によっても債務超過を脱し切れない場合、株価はゼロのままです。
このような場合は利益移転課税は考えにくいと思われます。
しかし、株価がプラスであった、あるいは債権放棄により債務超過を脱して株価がプラスに転じた場合、贈与税が課されます。

考え方は次の通りです。
ある株主が他の同族株主に対し、金銭を直接贈与すれば、当然、贈与税が課されます
しかし、同族会社に資金を貸付け、後ほど債権放棄をすれば、その資金は同族会社に残ります。
この残った資金を給与あるいは配当金の形で他の株主に還元することは可能となります。
(給与あるいは配当金には所得税等が課されますが)
すなわち迂回贈与が可能となります。
これを防止するため、相続税法では株価の評価アップに着目、迂回贈与の可能性に対して課税するというものです。

ご理解いただけたでしょうか。

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2019年6月6日