事業承継税制と民法特例

事業承継税制と民法特例

こんにちは、東京都文京区本郷三丁目駅徒歩4分の谷澤佳彦税理士事務所です。

平成30年度税制改正ではビッグニュースがありました。
それは事業承継税制の特例創設です。
事業承継税制そのものが特例ですが、その更に上を行く特例です。

事業承継税制では、後継者に株式を生前贈与した際、または後継者が相続で自社株を相続した場合、自社株に対する納税を猶予される制度があります。
納税猶予の上限は発行済株式総数の2/3相当部分までです。
相続の場合、更に税額の80%という条件が付きます。
ここでは記載しませんが、納税猶予となる条件、猶予が継続するには幾つか条件があります。

そして生前贈与した場合、贈与者が死亡した場合、納税を猶予された贈与税額が免除となります。
ただし、その株式は相続税において、相続税の課税対象となりますが、ここで更に相続税の納税猶予を受けることが可能です。
相続の場合、次の相続が発生したら、納税を猶予された相続税額が免除となります。

なお、納税はあくまでの猶予、すなわち待ってあげるということです。
条件が満たされなくなった場合、猶予が取り消され、納税(本税に加えて延滞税、すなわち金利も加算)することになります。

さて、平成30年度税制改正で成立した特例の特例は、この納税猶予の上限、発行済株式総数の2/3を撤廃するというものです。
すなわち税額が全額、納税猶予されます。
基本的な猶予と猶予が継続する要件は旧来から存続する猶予特例とほぼ同じです。

条件を満たし続ければ猶予が事実上の免除になります。

事業承継特例における税務上の基本的構想は、
・自社株を後継者に生前に贈与し、後継者が経営を引き継ぐ
・贈与税納税は猶予される
・先代が死亡した際、贈与した株式は相続税の課税対象となるが、ここでも納税猶予により経営を継続する
というものです。

とある経営コンサルタントの話、水面下では事業承継税制の適用を検討している会社が多いとか。

ここまでは税務の話です。
自社株を生前に贈与すると、民法上の問題が生じかねません。
それは遺留分です。

相続時、民法上では、生前贈与した財産は遺産分割の際、相続人の財産に加算して遺産の分け方を検討します。
生前贈与財産が多いと、後継者が他の相続人の相続財産取得分を侵害することが生じかねません、遺留分の侵害です。
遺留分侵害により、他の相続人から代償を求められた場合、渡せる財産があればいいのですが、渡せない場合、にっちもさっちも行かなくなります。
税務だけに目を奪われて対策をとっていると、後で取り返しの付かないことが生じかねません。

谷澤佳彦税理士事務所では、このような事態を回避すべく、民法対策も合わせてご提案しております。
経営承継円滑化法では、民法の特例を設けています。
自社株を遺留分の計算から除外する、または遺留分計算において株価を贈与時の時価に固定する制度です。
民法特例が適用されるには、一定の条件があり、家庭裁判所に申立をして認定される必要があります。
ただ後々の相続人間のトラブル回避には対応しておいた方が転ばぬ先の杖、いえ前始末になります。
後始末は大変ですが、前始末であれば、後始末よりは楽に対応できます。

自社株と経営を後継者に譲渡したい皆さん、税務だけでなく、民法上の前始末、一緒に考えませんか。

※税理士による文京相続相談室(谷澤佳彦税理士事務所)では、相続に関しては初回面談相談無料にて積極的にお受けしております。

2018年4月19日