令和4年度税制改正要望③ 基金拠出型医療法人への移行課税猶予

令和4年度税制改正要望③ 基金拠出型医療法人への移行課税猶予

こんにちは、東京都文京区本郷三丁目駅徒歩4分の谷澤佳彦税理士事務所です。

令和4年度税制改正要望のお話その3です。

厚生労働省から挙がっている医療法人社団についてです。
現在、新規設立する医療法人社団には、出資の持分はありません。
しかし、平成19年3月31日までに設立した殆どの医療法人は出資の持分があります。
出資持分、出資者が退社したした際、出資持分払戻を請求できる権利です。

相続税においては、医療法人の出資持分は課税対象です。
医療法人は医療法の規定により、配当金はありません。
しかし、出資持分があれば、出資者が退社時、持分払戻が可能となることから、出資持分は財産権として評価します。
老舗の医療法人ほど、利益留保額や不動産の含み益が大きく、出資持分は高く評価され、相続時には相続税の支払に頭を痛める納税者が多々います。

そこで、平成19年から医療法人社団の出資持分がない法人しか設立できなくなりました。
出資持分がないのですから、出資持分の評価とは無縁です。

さて、古い医療法人はどうなるのでしょうか。
出資持分のない法人に移行することが可能です、移行方法の1つが、基金拠出型医療法人への移行です。
この際、税務の壁が立ちはだかります。
額面を超える基金拠出額は、配当金とみなし、課税されるのです。

税務の考え方ですが、
・出資持分を一旦、時価で売却
・売却代金をもって基金を取得
というもので、時価売却は過去の利益や含み益蓄積をはき出すもので、それに課税するのです。

税制改正要望は、この課税の猶予を求めるものです。

なお、出資持分ナシの医療法人への移行特例として、厚生労働大臣認可の下、一定の出資持分放棄を行えば、課税が免除されます。
これとは別の制度です。

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