小規模宅地等の評価減の適用

小規模宅地等の評価減の適用

こんにちは、東京都文京区本郷三丁目駅徒歩4分の谷澤佳彦税理士事務所です。

相続税申告では、一定の居住用宅地や事業用地においては、面積制限があるものの、大幅な評価減を適用することが可能です。
東京23区内では、相続税の非課税枠たる基礎控除額をギリギリ超えた被相続人、この小規模宅地等の評価減で納税ゼロの案件、多数あります。

さて、この特例、気をつけることを記します。

適用要件は様々あります。
その一つに、相続税の申告において特例を受ける際、特例対象宅地等を取得した相続人が複数いる場合には、その全員の同意を得ることが要件として定められています。
相続税申告にあたり、同意を証する書類(相続税申告書第11・11の2表の付表1)の提出が必要となります。

特例の対象となる宅地等は、相続開始直前の利用区分や要件に応じて、
・「特定事業用宅地等」(限度面積200?400?、減額割合50?80%)

・「特定居住用宅地等」(同330?、80%)に分けられます。
特例対象宅地等は限度面積が決められているため、特例対象宅地等が複数ある場合は、適用できる土地と適用できない土地が出てきます。
そのため、小規模宅地の特例を使う宅地は選択適用となります。

つまり、小規模宅地の特例はあくまで“特例”であって、納税者自ら適用を受けることを選択するものなのです。
その適用を受けられる特例対象宅地等を複数人が取得した場合には、その取得者全員が同意の上で、特例の適用を受ける宅地等を選択するものとして、その選択について全員の“同意を証する書類”(遺産分割協議書など)を相続税の申告書に添付することが必要になるわけです。

これは、たとえ遺言書があって、1人の相続人に全ての土地を相続するという内容であったとしても書類の添付が必要です。
国税不服審判所の裁決事例(2014年8月8日裁決)に小規模宅地の特例合意について争われたものがあります。
裁決は、特例の解釈は厳格にされるべきとした上で、相続人間で遺言書無効確認の争いがあったとしても、相続人全員の同意書が出されていない以上、特例の適用は認められないと判断しています。

2017年2月2日