相続税評価額高額時は他の合理的評価可

相続税評価額高額時は他の合理的評価可

こんにちは、東京都文京区本郷三丁目の税理士・谷澤です。

相続税における不動産評価のお話です。
国税不服審判所が次のような判断を下しました。

相続税評価額高額時は他の合理的評価可  審判所鑑定評価で一部処分取り消し

国税不服審判所はこのほど、財産評価基本通達に定められた評価方法により算定される価額が時価を上回る場合、同通達の定めにより難い特別な事情があると認められるから、他の合理的な評価方法で評価することが許されるとの判断を示しました。

《要旨》
税務署は、納税者が相続により取得した土地の相続開始時における価額は、財産評価基本通達による評価額によるべきである旨を主張します。納税者は、本件土地の時価を評価するに当たり財産評価基本通達の定めにより難い特別な事情があることから、納税者が依頼した不動産鑑定士による鑑定評価額によるべきである旨主張します。

しかしながら、本件の場合、鑑定評価額は、開発法につき都市計画法第33条《開発許可基準》に関する審査基準を満たしていないなどの理由により、本件土地の相続開始時における時価とは認められません。
他方、本件土地の開発に際しては、袋路状道路の敷設は認められないなど特殊な制約が相続開始時にあったことから、当審判所において不動産鑑定士に鑑定評価を依頼し、その評価額を検討したところ、開発法につき本件審査基準を満たしているなどの理由により、相続開始時における時価として妥当なものと認められました。

そして、財産評価基本通達に定められた評価方法により算定された価額が時価を上回る場合には、通達の定めにより難い特別な事情がある場合に該当するといえます。
その場合、他の合理的な評価方法により評価することが許されると解されるところ、財産評価基本通達による評価額は審判所による鑑定評価額を上回るものであることからすると、本件土地の価額を評価するに当たっては、財産評価基本通達の定めにより難い特別な事情があると認められます。

したがって、本件土地の相続開始時における価額は、審判所鑑定評価額とするのが相当です。

路線価は基本的に時価の8割程度を目指して評価されています。
しかしこれが時価を上回ることも起こります。
そのような場合、不動産鑑定士による鑑定評価でもOKということです。


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2015年5月22日